ケーススタディ- 政府機関

インド:最寄りの場所で利用できる行政サービス

ラージャスターン州政府が、ソーシャルカードの発行のための自動化キオスクを導入します。

課題:長時間を要する行政文書交付サービス

インド北西部における最大の州、ラージャスターン州の州政府が抱えていた最も深刻な課題は、出生証明書や教育修了証、カースト証明書、Aadhaar(アドハー)カード、PANカードといった文書の交付サービスの問題でした。

以前は、これらの文書を入手する場合、Atal Seva Kendra(アタル・セヴァ・ケンドラ)またはe-Mitra(e-ミトラ)センターと呼ばれるサービス事務所まで住民が何度も出向かなければなりませんでした。 この手続きでは、長い列に並んで順番を待つ必要があり、また非常に時間がかかるうえ、申請が誤って処理されることもありました。 また、機密データの漏洩や不正行為も増えていました。 これらの理由から、住民向けサービスや、その質の低い整備状況に不満が寄せられるようになったのです。 そのうえ、こうした文書交付の処理には多くの財源が費やされました。

ソリューション:デジタル技術の活用によって住民と行政側との隔たりを解消

ラージャスターン州では、これらの課題に対処し、市民による行政文書の取得を円滑にするとともに、e-ガバナンスを強化するためLipi Data Systems社と提携

それにより、州内の23の県の農村地域における1万のグラム・パンチャーヤト(村落自治体)に、自動化されたセルフサービスキオスクを設置しました。 Lipi Data Systems社は、e-Mitra Plusと呼ばれるこれらのキオスクの要となる機器として、同社独自の4トレイソリューションを備え、カスタマイズされたElypsoプリンターを採用。 指定の要件に応じて、1台のキオスクで4種類のカード(Aadhaarカード、PANカード、運転免許証、BhaMaSha Healthカードなど)をプリントすることができます。  このプロジェクトでは、Evolis India社のチームがシステムインテグレーターのチームと協力して、120日間で5,000台のカスタマイズ済みElypsoプリンターを供給し、その設置を完了しました。

これによって住民は、このキオスクを利用し、自身に関わる公的文書をセルフサービス方式で入手できるようになり、サービス事務所での長蛇の列と時間のかかる手続きから解放されます。 また、キオスクに搭載されているインスタントビデオ会議機能により、各地に分散したチーム間での迅速なコミュニケーションが可能になります。 このプロジェクト発表のニュースは、住民の間で好感をもって受け止められています。

この取り組みにより、住民の満足度が大きく改善され、文書交付処理の誤りは大幅に減少しました。 また、自動化キオスクの導入により、文書を手渡すためだけに担当者の増員や個別のカウンターとオフィスの設置に予算を投入する必要性が減りました。

結果:キオスクのプリントシステムの活用により、すべての行政サービスが1か所で処理可能に

ラージャスターン州政府では、特に地方在住の銀行口座を保有していない住民に対し、多くのサービスを、コスト面で実行・持続可能・効率的な方法で提供できるようになりました。これにより、e-ガバナンスプログラムがさらに強化されることになります。

この結果に対しては、住民と官公庁職員の両者から肯定的な反応が寄せられています。 導入されたシステムは、現地語に対するサポートと適切な指示を提供する画面を備えているため、一般市民にとって使いやすいものになっています。 このようなソリューションは、インドの他の地域にとって、国民の文書取得手続きを円滑にし、インドのデジタル化政策「Digital India(デジタル・インディア)」を推進するうえでの好例となるでしょう。

「このシステムが製造されたフランスとインドにおけるEvolis社のチームの素早い対応に感謝しております。 Evolis社との協力により、プロジェクトが極めて迅速に進みました。入札からわずか8カ月で、5,000台のカスタマイズ済みElypsoプリンターと5万個の印刷インクリボンがウダイプル市に供給されたのです。 業務におけるEvolis社の柔軟性に対してお礼を申し上げたいと思います。同社のおかげで、当社だけが、この大規模なプロジェクトの特殊な役割と迅速な展開についての政府の要求に応えることができました。 そして、キオスクの開発にあたっては、技術担当者や販売担当者の方々との密接な協力のもとに各段階を進めることができました。」
Ajay Jha, Vice President of Lipi Data Systems